黒いゴマのような点々とある汚れ・・・この正体を皆さんご存知でしょうか?
これはお風呂などにも発生する黒カビの仲間です。
湿度が70%を超え、10度以下にならない環境であればどこでも繁殖できるので、
コックコートはカビが繁殖しやすいと言えるでしょう。

黒カビの根は深いため、根元から落とさないとまた生えてくる厄介な存在です。
それに、白カビよりも色素が濃く、クリーニングをしても残ってしまうことがあるので、
カビが小さく少ないうちに手を打っておくのが良さそうですね。

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カビが生えることがあるコックコート

衣類にカビ?と意外に思われるかもしれませんが、
同じ現象は濡れたままのタオルでも起こりやすいです。

使った後すぐに乾燥させる、もしくは洗濯することができればカビの繁殖を防ぐこともできますが、
仕込みから営業中まで換算すると半日濡れたままになることが日常ですし、
持って帰るにもクリーニングに出すにもそのままの状態でさらに数時間が経過するので、
カビが繁殖しやすい絶好の環境を知らず知らずのうちに作り出しているということになります。

毎日洗濯をしているのに黒カビが点々と残っているばかりに清潔感が損なわれるのは残念です。
また黒カビの繁殖力は大変強く、
一カ所にできたらあとはどんどん範囲が広がっていくウイルスのような威力があります。

しかし洗濯やクリーニングから仕上がったばかりのコックコートに
黒カビが残っているように見えても、
実は色素が残っているだけということが多いのでお料理に影響が出るということはまずありません。
毎日取り換えて清潔なコックコートを身につけながら、
カビの一度着用したものにはカビが生えないように気をつけて過ごしていきたいですね。

コックコートのカビの落とし方

本当にその汚れがカビであれば、
カビキラーを使っても落ちるということが知られています。
洗濯の手順で落としたい時は、通常の洗濯と同様に漂白剤を使用します。
コックコートは生成色の素材に真っ白の色付けをして作られていることがありますので、
漂白をしたら白が落ちて黄ばんで見えたという経験もあるのではないでしょうか。
そのような場合は、酵素系の漂白剤を使うことで、
色柄物と同様に色落ちせずに生地そのものを漂白することができます。

この漂白剤を50度~60度程度の熱めのお湯に溶かして付け置き洗いをしていきます。
1時間ほど付け置きしてそのまますすぎをせずに洗濯機に入れて、洗剤を追加して洗濯します。
乾燥機能があれば洗濯後のカビの繁殖を防ぐことができますが、
縮みやすいというデメリットもありますので天日干しで型崩れしないように仕上げましょう。

カビは落ちても臭い戻りが気になる時は、
重曹をとかしたお湯に浸け置き洗いをするのが効果的で、
これは毎日使うバスタオルやフェイスタオルにも応用できる方法です。
洗った後にすぐ干すのも忘れないようにしましょう。
水に残っている雑菌がまたカビの元を発生させます。

これらの方法を行っても黒カビの色素沈着が気になるのであれば、
過マンガン酸ナトリウムを使用して
染み抜きをしてもらえるクリーニング店にお願いするという方法もありますが、
他のクリーニングよりも高額になることが予想されますので、
新たに購入した方が費用を抑えられるのか十分に検討してからの方が良さそうです。

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コックコートのカビの予防法

・濡れたままにしない

カビは室温が20度~30度、湿度が70%~80%の環境で繁殖しやすいので、
まず乾燥させるのが繁殖を防ぐことに繋がります。
着用したコックコートを持って帰る時には、
直前まで乾かしておいたり持ち帰ったらすぐ洗ったりするなどの方法が有効となります。

すぐに洗濯できない時も、濡れたまま畳んでおくよりは、
広げて通気性を確保しておいた方が乾燥しますので、
梅雨時などすぐに洗濯をするのが難しい時もまずは乾燥させることを心がけましょう。
クリーニングに出す時にも、翌日の回収になることがほとんどだと思いますので、
丸めて一緒にするより濡れた部分を広げて回収を待つ方がカビ対策になります。

・乾燥できない時は冷やす、もしくは加熱

20度~30度で繁殖しやすいということは、
冬の外気のような環境を作り出せばカビは繁殖できないということになります。
料理をする場所にあるものを使って20度以下にするならば、
やはり冷凍庫を活用すると滅菌効果が期待できますね。

一度着用したコックコートをすぐに持ち帰ることも乾燥させることもできない状況に
なってしまったら、ビニール袋などにいれて冷凍庫に入れておくと
菌の繁殖を防ぐことができます。

これは靴の殺菌にも使われることがある方法で、
サンダルや靴などに水虫菌が発生していても水洗いするのが難しい時、
除菌スプレーを使うよりも早く確実に菌を死滅させることができるというデータもあります。

40度以上になってもカビは繁殖しにくくなりますので、
着用した後にコックコートを煮沸してから持ち帰るのも一つの対策ですが、
冷めるまでに時間がかかり濡れると重たくなることから実用的とはいいがたいですね。

持ち帰った後はまた室温に戻ってしまうとカビの住み家になりますので、
早急に洗濯をするように心がけましょう。
他にも正しい洗濯方法で洗ってもカビに悩まされる場合は、
洗濯槽にカビが残って繁殖を続けている可能性もあります。
自宅の洗濯機のクリーニングも定期的に行いましょう。

 

最初から生えなきゃいい!カビに強い素材は?

天然の素材は人間にも快適ですが、
自然界に生きるあらゆるものにとって快適な場所となるもので、カビにとっても条件は同じです。
綿100%の素材は地が厚く耐久性を求められるコックコートによく用いられる素材ですが、
乾きにくく水を吸うと重たいという難点もあります。

そこで最近では、綿にポリエステルを混紡した素材が一般的になりつつあり、
抗菌コートを施せる、乾燥が早くなるなどのメリットを存分に発揮しています。
ポリエステル100%にしてしまうと火に弱いデメリットがコックコートには不向きになるため、
綿素材は欠かせません。
ポリエステルを混紡することで乾燥が早くなり、
綿100%に比べるとシワになりにくい特徴もあるので、縮みや型崩れにも強い素材となります。

綿も燃えやすいのでは?と思われがちですが、燃え移るスピードが化学繊維よりも遅いことから、
万が一コックコートに火が燃え移ったとしても脱ぎ捨てることで
難を逃れることができる
と言われています。

ポリエステルの他にもナイロン素材でウレタンコーティングを施してある素材ですと
耐熱性もあり防水加工ができるので、キッチン回りの強い味方になります。
この素材ではコックコートよりもエプロンのデザインになっていることが多いようで、
水回りの作業をするときにコックコートの上からウレタンエプロンを使用すれば、
コックコートに汚れや水気が付くのを防ぎ結果的にカビの生えにくい環境を作ることに繋がります。

正しい扱い方を守って、コックコートをカビ知らずに保つ

こまめに洗っているのに落ちないどころか増えていくように見える黒い点々とした汚れが、カビ。

今回はカビが発生したコックコートの洗い方と予防策、
カビが生えにくい素材などについて触れてきました。
火に強い綿素材と、速乾性のあるポリエステル素材を混紡した素材で、
快適さと機能性を追求してみてはいかがでしょうか。
黒いカビは白いカビよりも根が深く色素も強いことから、
自宅でのお手入れにも限界があるのも否めません。
しかし早い段階で見つけることができれば、増えるまえに菌の繁殖を止めることができます。

日々のお手入れに酵素系の漂白剤を取り入れる、
濡れたまま放置しない、すぐに乾燥させるなどの予防策
を取り入れて、
大切なユニフォームを守りましょう。

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