経理経験が浅い人にとっては、どの経費がどの勘定科目にあたるのか判断がつかない事はよくありますよね。

作業着やクリーニング代のの勘定科目は会社や状況によっても変わってきます。
そこで今回は、例をあげてわかりやすく解説していきます。

勘定科目を選ぶ際に必要な知識もまとめていますので経理初心者の方は必見です。

勘定科目を選ぶ際に考慮すること

作業服の勘定科目の話に入る前に、まずは「この経費はどの勘定に分類すればいいの?」と迷った時にどう考えて答えを導くのかを知っておきましょう。

分類の分からない経費に直面する度に「○○の勘定科目」と検索していては大変ですし、時間がもったいないですよね。
経理のみなさんならすでにご存じとは思いますが、勘定科目を選ぶ際に考慮すべき3つのことを改めておさらいしましょう。

所得税

所得税とは利益に対してかかる国の税金にあたります。

広い意味では個人の所得に対してだけでなく法人の所得に対する法人所得も含まれますが、一般的には法人の所得に対する税金は『法人税』として区別されています。

福利厚生

福利厚生とは企業から従業員へ支給される給料以外(非金銭)の報酬にあたります。

福利厚生には法律で定められている『法定福利厚生』と企業が独自に定めている『法定外福利厚生』の二種類があります。
なぜ給料以外に報酬が必要なのかと言うと、企業が労働力を確保し定着させるためや、従業員の仕事への意欲を高めてもらうためです。

【法定福利厚生】
1. 社会保険料(雇用保険・健康保険・介護保険・労災保険・厚生年金保険)の負担
介護保険は40歳以上が加入する義務のある保険ですが、それ以外は入社した際に加入します。
労災保険のみ全額負担、その他は半額負担です。
2. 子ども・子育て拠出金
子供の有無に関わらず、給料の0.23%が児童手当の財源として納められます。
従業員の給料をもとに算出されますが、実際は事業主が全額納付し、従業員の負担はありません。

【法定外福利厚生】
1. 住宅手当や家賃補助
家賃や家のローンの返済を一部企業が負担する制度です。平均で1~2万円の補助が出ます。
2. 交通費
通勤にかかる費用を会社が負担する制度です。
3. 家族手当
扶養家族がいる場合、配偶者に月1万円、子供1人につき8千円生活補助が出ます。
4. 健康診断補助
定期健康診断や人間ドックの費用を会社が負担する制度です。
5. 社員食堂 など
社員専用の食堂で、費用の一部を会社が負担しているため通常の食堂に比べ安く利用できる制度です。

製造原価勘定

製造原価とは、商品を製造する為にかかる費用の事です。

物を作って販売する製造業や建築業の場合は、現場の従業員の作業服代を製造原価に含みますが現場以外の事務方の制服などは製造原価に含みません。

【参考記事】あとは買うだけ!作業服はどこで買うのがお得?▽

 

作業服の購入の勘定科目は?

では、おさらいしたところで作業服の購入の勘定科目をどこに分類するか考えてみましょう。

よく経理のみなさんが悩むのが消耗品費、福利厚生費、雑費の3つです。確かにどれにも当てはまりそうですが、一般的には『福利厚生費』として処理されることが多いです。
消耗品費でもよいのですが、事務服、作業服、社内サークルのユニフォームなど社員に対する衣服の支給と言っても様々な種類があるため、それぞれを別々の勘定科目に分類すると実務上不具合が生じるため福利厚生費として統一しているのです。
統一さえすれば全ての衣服の支給を『消耗品費』としても間違いではありません。

また、福利厚生はあくまでも従業員に支給される報酬の事ですので、従業員を雇っていない個人事業主は自分用に作業服を購入しても『福利厚生費』の勘定は使用できません。
その場合は『消耗品費』になりますので注意が必要です。

作業服のクリーニング代の勘定科目は?

クリーニング

作業着のクリーニング代も、購入と同じく『福利厚生費』に入ります。

しかし、福利厚生と認められるためには全従業員を対象としていて、適切な金額であることが条件です。
全従業員の作業着をクリーニングすることは、働きやすさの向上に繋がりますので福利厚生として適当ですが、特定の誰かの作業服のみクリーニングするような場合は、その従業員に対する給料として認定されることもあります。
したがって所得税の課税対象になってしまいます。

そして、作業着のクリーニング代に関しては福利厚生費ですが、他業種の全てのクリーニング代も、イコール福利厚生費と言うわけではありません。

例えば飲食店のおしぼりや美容室のタオルは従業員のためではなくお客様のためにクリーニングしているものなので『衛生費』に分類されますし、年に数回しか発生しない少額のクリーニング代は『雑費』に入ります。
このように、勘定科目は細かく分かれていますので、それぞれ何のために使っている経費なのかをよく確認しましょう。

勘定科目がグレーなケース

黒のジャケット 白の作業ジャケット

すでにお話しした通り、会社から作業服が支給される場合は福利厚生の一つとして扱われますが、スーツで働く人が会社からスーツを支給された場合は、給料とみなされ所得税の課税対象になります。

「え?服の種類が変わっただけで?」と疑問に思いますがこれには理由があり、作業服はあくまでも社内で業務上着用するだけのもの、という認識であるのに対し、スーツはプライベートでも着られる→私服になる→従業員の利益という考えなのです。

この考えを逆手に取って「スーツに社名のロゴや刺繍を入れれば制服扱いで非課税になるのでは」という意見もありますが、そこははっきりセーフとは言い切れないグレーゾーンとされています。

勘定科目を選ぶポイント

勘定科目について知れば知るほど選ぶ難しさが身に染みてきますが、ここでは絶対に押さえておくべきポイントをご紹介します。

・所得税の課税対象になるかどうか

ここを曖昧に処理してしまうと会社や従業員が損をしたり、最悪の場合、脱税の疑いをかけられたりする恐れもあります。
課税対象かどうかはしっかりと判断しましょう。

・製造原価勘定を使う業種か

製造業や建築業であれば作業服代も商品の製造原価に含めたいので、『福利厚生費』としている場合が多いです。
「ん??福利厚生費って原価と関係あるの?」と思った人のために、ここで福利厚生と原価の関係を整理しておきましょう。

例えば鉛筆工場の場合、原料を購入する費用、原料を輸送する費用、工場の道具を購入する費用、工場の電気代、工場で働く人の人件費などが原価に含まれます。
そして、人件費の中に、賃金以外の福利厚生費も含まれているのです。

わかりやすくまとめると、製造原価>人件費>福利厚生費>作業服代ということです。

『消耗品費』としてしまうと、売上に直接関係しない一般管理費と混同してしまうので、『消耗品費』は現場で消耗する道具などに留めているのです。
一方、製造業や建築業以外の業種では制服を着て作業をすることと売り上げが直接関係していないので作業着を『消耗品費』として扱う傾向にあるようです。

・会社のルールを確認

作業服の購入代金一つとっても、A社では福利厚生費、B社では消耗品費、と扱いが違う場合が多々あります。

経理のスキルはどこの会社に行っても使えるので転職する人も少なくありませんが、別の会社から移動してきた時などはその会社での処理の仕方に合わせなければなりません
また、同じ会社の中でも前年度と今年度の処理に違いがあると正確なデータが得られません。毎年同じ科目で処理することが重要です。

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作業服の勘定科目はケースバイケース

作業服の購入代やクリーニング代の勘定科目がどういった理由でその科目になっているのか、お分かりいただけましたでしょうか。
福利厚生費に分類するにも細かな規定があります

また、業種やシチュエーションによって処理の仕方が違うなど、勘定科目の見極めは非常に難しいことが分かりましたね。

今回は作業服の購入とクリーニング代の勘定科目について学んできましたが、福利厚生や所得税、製造原価の基本的な考えが分かっていれば色々な場面で勘定科目を判断することができるでしょう。

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