色は見る人にそれぞれ異なる印象を与え、また心身を特定の状態に導く効果もあると考えられています。

ですからユニフォームの採用時にどの色を選ぶか、は重要なポイントです。
医療用ユニフォーム(白衣)における色の効果、影響について考察します。

【参考記事】医療用ユニフォームを購入をお考えの方は要チェック!▽

色の効果

色が変わると見る人の印象や心理状態も変わり、
一説には「体調や健康状態にも影響を及ぼす」ともされています。

色のもつ効果としては視認性や可読性といった要素も重要ですが、
今回は医療ユニフォームの色が、医療現場のスタッフや来訪患者の心理に与える印象に関する話です。

色の効果が人に与える影響

色によって心理状態が変わり、身体の状態にもわずかながら影響を与えます。

多くの人は自分が好んで購入する服の色がいくつかあるでしょうし、
「このシャツは気に入っているが、職場に着ていくには色が向いていない」
といった覚えもあるかもしれません。
それだけ、色にはデザインや柄と同様に、
固有のイメージがあることを人は意識せずとも知っている
ということです。

  • 衣服の色は、着る人・見る人の心理状態に影響し、見る人が着用者にもつ印象も左右する
  • これらの心理状態の変化は、誤差程度ではあるが身体の状態にもわずかに影響する

色の効果にはこれだけの力がある、と考えられています。実例を交えながらご説明しましょう。
複数の色の医療ユニフォームを着たスタッフたちのイメージ

病院と色彩

さて、本題の医療施設に目を向けましょう。

かつて医療の現場はほとんど白一色に支配されていました。
白は清潔感を与える色であり、また汚れがついたら目立ちやすい色ですから、
衛生管理が重要な医療施設とは非常に相性がよい色であったことが主な理由です。

白以外の色が増えた理由

昨今では病院の医療用ユニフォームや内装に白以外の色も多く採用されています。
白の勢いが衰えを見せた理由は何だったのでしょうか。

■白以外の色が求められるようになった

訪問患者や入院患者の心理に配慮して、
白以外の色が与える印象を積極的に活用しようという機運が高まり、
白以外の医療ユニフォームの採用が増えていきました。
具体的には少しあとで詳述します。

■白の「補色残像」が問題になった

人の視覚には「補色残像」という現象があります。
長時間同じ色を注視していると、
目を離したときに見ていた色の補色(色相環上の対照色)の残像が見える、というものです。

医療現場での補色残像としては、外科手術で血液の赤色を長く見ていた医師や看護士が、
手術後に赤の補色である緑色の残像が視界に強く残って業務に支障が出る、
という報告が多く挙がりました。
やがて、周囲に補色を配することで補色残像を緩和できることが判明し、
手術に使用するシーツやカーテン、そして手術用白衣に薄緑色~青色が採用されるようになりました。
青や緑の手術着のイメージ

■「白衣性高血圧」が問題になった

「ふだんの血圧よりも病院で測る血圧がずっと高い」という現象を「白衣性高血圧」と呼びます。
(※「白衣現象」と呼ぶことも)

血圧は緊張すると上昇します。
白衣=医師・医療現場というイメージからか、患者は病院での血圧測定時に緊張し、
血圧を高くすることがあります。
血圧以外にも患者の緊張を招く部分があるのでは、といった配慮から、
白い白衣ではなく、色のついた医療ユニフォームを採用する医療施設が増えました。
診断する白い白衣の医療スタッフイメージ

白いユニフォームが不適切なわけではない

白い白衣の課題がいくつか見つかったことが他色の医療ユニフォーム普及のきっかけにはなりましたが、
「白い白衣は望ましくない」と結論づけられたわけではありません。

補色残像を考慮して青い手術着を採用したものの、
手術着以外は白い白衣のままという医療施設もありますし、
「白衣=医師」というイメージが信頼感につながるプラスの効果を鑑みて、
白衣の色は変えずに血圧測定を医師以外が担当する流れをとり入れるなどの対応例もあります。
白い白衣の医療スタッフたちのイメージ

 

【参考記事】白衣もおしゃれに着こなしたい!白衣の着こなし方▽

医療ユニフォームの人気色とその効果

白以外の医療ユニフォームで人気の3色について、それぞれに期待される色効果を確認しましょう。
なお、「身体的影響」として記すものについては、実際の影響力としてはごくわずか、
あるいは傾向すら見られないこともある要素で、
「そのような可能性があるかもしれない」程度の情報として参考にしてください。

ピンク:安らぎを与え、女性をイメージさせる色

心理的影響:安らぎ・喜び「女性の服」という印象
身体的影響:視床下部一帯の刺激、内分泌系の活性化、回復を象徴

ピンク色の医療ユニフォームの採用

ピンクはもはや医療ユニフォームの定番と言われるほど人気で、普及している色です。
ただし、色の印象から女性スタッフのみに採用されることがほとんどです。


>>HO1917 ナガイレーベン(nagaileben) ホスパースタット ワンピースはこちら

青(ネイビーや水色):落ち着いた印象、男性をイメージさせる色

心理的影響:落ち着き・冷静・冷たさ(寒色)「男性の服」という印象
身体的影響:鎮静作用、発熱・やけど・血圧上昇を抑える。広さや時間的な落ち着きの演出
青い医療ユニフォームの医療スタッフと患者のイメージ

青色の医療ユニフォームの採用

青系統の色も非常に人気が高く、既存の白い白衣に差し色として青や水色を使う例も多くあります。
男性向けのイメージがありますが、ほぼ女性限定のピンクと異なり、
青系のユニフォームを女性スタッフが着用するのは珍しくありません。
色の印象から、役割ごとの色分けでは麻酔医に割り当てる現場もあるようです。


>>MZ-0092 ミズノ(mizuno) ストレッチスクラブ(男女兼用)はこちら

他にもスクラブを含めた医療用ユニフォームをご覧になりたい方はこちら。

▼ユニフォームタウン
https://www.l-m.co.jp/


>>ユニフォームタウンのスクラブ特集はこちら

緑:生命力を象徴し、落ち着きや安らぎももたらす色

心理的影響:生命力、健康、癒し、落ち着き、安らぎ
身体的影響:血液循環や副甲状腺分泌の促進、ウイルスの抑制、目の疲労回復、緊張の緩和

緑色の医療ユニフォームの採用

草木のイメージからか生命力を想起させる色で、また目にやさしい色でもあることから
医療施設スタッフのユニフォームとしてはとても適した色です
ただし手術着として濃い緑色を採用する施設も多いため、通常使いにはあざやかなエメラルドグリーン、
もしくは薄緑色が使われることが多いようです。


―引用:MZ-0092 ミズノ(mizuno) ストレッチスクラブ(男女兼用) |ユニフォームタウン

他の色の採用で期待される効果

医療ユニフォームの色として人気の高い3色を確認しましたが、
色それぞれの印象と効果を知るためにもう2色ほど確認しましょう。

黄:元気、明るさを演出し、不安を解消する色

心理的影響:陽気、元気、楽しさ
身体的影響:生体機能の活性化、貧血防止

黄色の医療ユニフォームの採用

明るさ、陽気さ、元気というイメージが非常に強く、
心理的な落ち込みやスランプ状態にある人を元気づける色です。
ただ、明るく目立ちすぎるのが難点となり、
ユニフォームとしてはくすみをもたせたカラシ色や、かなり薄くしたベージュ色での採用がある程度です。

赤:生命力、情熱のイメージで活力を印象づける色

心理的影響:生命力、愛情、情熱、熱、暖かさ。「女性」をイメージさせる色
身体的影響:心身の活性化、食べ物の消化、寒さの改善

赤色の医療ユニフォームの採用

生命力を想起させ、熱・温かみを感じさせることから医療の現場への適性はあるのですが、
白と赤の組み合わせが既に多く使われているせいか、あるいは血液のイメージからか、
ピンクや青の人気には劣ります。
ただ、ピンクと紫が混ざったようなマゼンタ、ワインレッドに近い色の医療ユニフォームは、
多くの製品のカラーラインアップに登場します。
赤系の色は女性向きの印象もありますが男性にもよく似合います。


―引用:WH11485 自重堂WHISEL スクラブ(男女兼用) |ユニフォームタウン

 

効果
ピンク 心理的影響:安らぎ・喜び「女性の服」という印象
身体的影響:視床下部一帯の刺激、内分泌系の活性化、回復を象徴
心理的影響:落ち着き・冷静・冷たさ(寒色)「男性の服」という印象
身体的影響:鎮静作用、発熱・やけど・血圧上昇を抑える。
広さや時間的な落ち着きの演出
心理的影響:生命力、健康、癒し、落ち着き、安らぎ
身体的影響:血液循環や副甲状腺分泌の促進、
ウイルスの抑制、目の疲労回復、緊張の緩和
心理的影響:陽気、元気、楽しさ
身体的影響:生体機能の活性化、貧血防止
心理的影響:生命力、愛情、情熱、熱、暖かさ。「女性」をイメージさせる色
身体的影響:心身の活性化、食べ物の消化、寒さの改善

色の効果を把握し、医療白衣に取り入れよう

既に白以外の色の医療ユニフォームはすっかり定着しています。
メーカーも製品には多くの色をラインアップしており、
色の効果はもはやユニフォームの機能のひとつともいえます。

定番的な人気の青には信頼感や落ち着き、鎮静のイメージが、女性スタッフ用に人気のピンクならば、
やすらぎ・回復・やさしさといったイメージがあり、
それぞれ多く採用されるだけの色の効果を有しています。
今も根強く人気の白は清潔感を演出し、「医療従事者らしさ」のイメージも演出します。

医療ユニフォームを採用する際には、単なる好みで色を選ぶのではなく、
その現場に患者が期待する要素、手に入れたい、あるいは補いたい印象をひととおり把握してから、
条件を満たす色はどれかを考え、候補を絞り込んでください。

参考文献:日本建築材料協会 技術委員会 アスワン(株)第一商品部MD 湯浅 肇「色彩の医療効果を取り入れた医療・福祉用カーテン」(2003)