屋外作業でヘルメットを装着する際に、遮熱・断熱性に優れた製品でなければ、熱中症リスクが高まります。

そこで今回は、熱中症・紫外線・汗蒸れ予防に効果的な遮熱ヘルメットの仕組みを解説します。

遮熱ヘルメットに使われている材質の違いを比較するので、屋外作業用のヘルメットを検討している人は参考にしてみてください。

ヘルメットで遮熱・断熱する仕組み

遮熱・断熱ヘルメットには、紫外線を反射して内部の温度上昇を抑える「遮熱塗装」が施されています。
元々は建物の外壁に塗る塗装ですが、ヘルメットに流用することで、熱中症を予防することが可能です。

しかし、外壁に塗る遮熱塗装をヘルメットに塗ると、プラスチックが劣化してヘルメットとしての機能性が劣ってしまうリスクがあります。

そのため、ガラスビーズや酸化チタンなどの特殊な塗料を用いて、プラスチックを阻害しないように作られています。

なお近年では、遮熱効果のある塗料を樹脂に練り込むことで、塗装なしで遮熱性を持たせるヘルメットも開発されているようです。

遮熱・断熱ヘルメットの材質比較

遮熱・断熱ヘルメットの材質は、FRP製(強化プラスチック)とPC製(ポリカーボネート)に分かれます。

どちらも耐燃・耐熱性や耐候性(屋外で使用する際の耐久性)に優れていますが、それぞれ強みと弱みがあるので、作業内容や用途に応じて選びましょう。

メリット デメリット
FRP製 耐燃・耐熱性に優れる 電気用帽子に不向き
PC製 耐燃・耐熱性や耐電圧性に優れる 溶剤・薬品に不向き

屋外作業で遮熱性を重視するならFRP製

FRP製は「熱硬化性樹脂」と呼ばれる熱に強い材質なので、遮熱製・断熱性を求める際におすすめです。

また、軽量かつ高強度な材質で、耐用年数も5年ほどと非常に長持ちです。ただし、電気作業では使えないので注意しましょう。

電気作業をするならPC製

PC製は「熱可塑性樹脂」と呼ばれる材質で、熱によって変形する性質があるため、容易にリサイクルが可能です。

そのため、耐熱性はFRP製には劣るものの、耐電圧性に優れるため、送電線工事などの電気工事にも適しています。

樹脂の性質上、灰色のヘルメットが多いですが、遮熱塗料を練り込んだタイプなら簡単に白のヘルメットを作ることが可能になっているため、安価で手に入りやすいです。

遮熱・断熱ヘルメットの効果

遮熱ヘルメットを装着すると、普通のヘルメットと比べて約14°の温度上昇を抑える効果があると言われています。

他にも、紫外線予防にもなるため、サンバーン(日光皮膚炎)や眼病などのリスクを軽減でき、安全に屋外作業を進めることができるでしょう。

遮熱シートで熱中症対策にも

断熱・遮熱ヘルメットがない人は、市販の遮熱シートをヘルメットに貼ることで代用することが可能です。

ヘルメットの表面に貼るタイプや、ヘルメット内に敷いて被るタイプもあるので、使いやすい方を選びましょう。

他にも、ヘルメットの熱中症対策として、汗取りインナーやインナーキャップなどがおすすめです。

熱や湿気を放出し、汗蒸れを防ぐことで、熱中症対策や快適にヘルメットを装着する効果が期待できます。