もともとスポーツウェアとして開発・販売されたコンプレッションウェアは作業着、
ワークウェアとしても広まりだしています。

機能性の高いスポーツウェアが作業着のインナーとして求められ、
強く支持されるようになった理由はどこにあったのでしょうか。
また、さまざまな機能があるとされていますが、それらの効果は本当なのでしょうか。

作業着としての「コンプレッションウェアの効果」について検証、考察します。

コンプレッションウェアとは

コンプレッション(compression)とは圧縮、圧搾を意味する英語です。
コンプレッションウェア(compression sportswear
または compression garment)は「着圧ウェア」とも呼ばれ、
伸縮性の高い生地によって着用時の身体に圧をかけることで、
身体にさまざまなサポート効果をもたらす機能性ウェア
です。

コンプレッションウェアの効果

多くのコンプレッションウェアに採用されている機能・効果をざっと確認しましょう。

  • 運動機能を向上する
  • 筋肉の無駄な動きやブレ、力の分散を抑える
  • 筋肉や関節への負荷を緩和する
  • 血行を促進し、むくみを改善する
  • ケガを予防する
  • 運動後の疲労を軽減し、回復を促進する
  • 吸汗速乾性の生地で着用時のコンディションを快適に保つ
  • 冬用のものは高い防寒性が、夏用には暑さ対策の機能がある

機能、効果を一覧で見ると万能すぎるようにも感じますが、
利用者はこれらの機能について実感を得ているようで、高く評価しています。

コンプレッションウェアの特徴

コンプレッションウェアは基本的にインナーとして使用します。
上半身用、下半身用の2種類だけではなく、
ロングタイツやハーフタイツにゲイター(ひざ下から脛に履くもの)、ソックス、
腕のみに着用するものなど種類はさまざまです。

体に圧をかける必要があるため、生地は非常に伸縮性に富んでおり、
着る前は1サイズ小さめに見えるほどです。
体にぴったりとフィットするので、縫い目部分が気にならないよう工夫されており、
縫い目を外側に出したものも多くあります。

夏向けの生地には吸湿、速乾のほかに接触冷感や抗菌・消臭機能が、
冬向けの生地には保温や保湿機能が付加されていることも多くあります。


>>4013 バートル [春夏用]クールコンプレッションはこちら


>>バートルのコンプレッションウェア特集はこちら

【参考記事】医療ユニフォームの理想的な色ってどんな色?こちらも要チェック▽

コンプレッションウェアの疲労軽減、回復効果

作業着としてコンプレッションウェアを採用する際、
とくに期待したい効果のひとつが疲労軽減と回復の効果です。
作業現場では資材を運搬する、支えながら固定する…などの動きで
身体的負荷を継続的に受けることが多く、疲労蓄積の主な原因になります。

もし疲労が軽く済み、翌日までにすみやかに回復するならば、
作業の質的向上と安全の確保につながりますし、
作業に対して「動きやすい、疲れない」と感じることも大きなメリットでしょう。

研究紹介1:疲労回復効果について

スポーツでも作業でも、筋肉に負荷のかかる運動によって筋肉はダメージを受けます。
これを「筋損傷」と呼ぶのですが、
コンプレッションウェアには筋損傷の回復効果があることを確認した研究があります。

この研究では30分間のランニングを行なってもらい、

  • 運動後、通常のウェアを着用した人
  • 運動後、コンプレッションウェアを着用した人

の2群に分けて、その後の回復度合いを確認しました。その結果、

  • コンプレッションウェアを着用した人は筋肉の損傷が抑えられていた
  • 回復にも一定の効果があるとみられる
  • これらの効果は、筋損傷がある程度大きいときに限られる

ということが判明しました。

かみ砕いて言えば「ある程度の運動の際にコンプレッションウェアを着ると、
筋肉の疲労が軽く済み、回復しやすい」
ということです。
参考:後藤一成 「運動後のコンプレッションウェアの着用が筋機能の回復や筋損傷に及ぼす影響の解明」(2015-2016)

コンプレッションウェアを作業着に採用するメリット

作業系の現場は「力仕事」と呼ばれるくらいですから、ある程度の筋損傷は必然的に起こります。
連日の作業で蓄積するダメージはあなどれないものになるでしょう。

コンプレッションウェアを着用すればこれらのダメージを大きく減らし、すみやかに回復できます。
資材の運び込みや什器移動などが多い現場ではかなり重宝しそうです。

コンプレッションウェアは心拍数上昇を抑える

先ほど紹介した研究は主にコンプレッションウェアの回復効果について知るために
「運動後にコンプレッションウェアを着るとどうなるか」を確かめるものでした。
「運動中にコンプレッションウェアを着るとどうなるか」も気になるところです。

コンプレッションウェアには「筋力をサポートしてパフォーマンスを上げる」
「身体負荷を緩和する」
といった機能もあると言われています。
これらが事実であれば、作業中にもコンプレッションウェア着用で得られる効果はかなり大きいでしょう。
これらについて実証はされているのでしょうか。

研究紹介2:運動中の身体負荷軽減について

コンプレッションウェアの着用が運動中の身体の変化に
どのように影響するのかを確認した研究を見てみましょう。
この研究では、

  • コンプレッションウェアを着てランニングする
  • 何も着ないでランニングする

の2群に分けて、心肺運動負荷(酸素摂取量、心拍数など)を測定して違いを比較しました。
そして、

  • コンプレッションウェアを着用すると運動時の心拍数が低下する
  • コンプレッションウェアは酸素摂取量には影響しない(着用、非着用で差はない)

という結論が導き出されました。
つまり「コンプレッションウェアを着用して運動すると
心拍数の上昇がある程度抑えられる」
ということです。
参考:石坂正大ほか「コンプレッションウェアが酸素摂取量および心拍数に及ぼす影響」理学療法科学31 巻4 号(2016)

コンプレッションウェアを作業着に採用するメリット2

身体を動かすと酸素が消費され、血液中の酸素を運搬しようと心肺の動きが活発になります。

たとえば階段を上り下りすると息が上がり、心臓が早く打つのが実感できます。
程度が上がると「少し休まないと動けない」と感じることもあるでしょう。
これらの身体変化は避けられないものですが、変化の程度が大きいと作業効率が落ち、
安全面でも望ましくありません。

「コンプレッションウェアを着用すると心拍数がそれほど上がらずに済む」ということは、
身体への運動の負荷が軽減できている証明でもあります。
「すぐには息が上がらずに動ける」というメリットは
現場に立ったことのある人ならばその大きさを痛感することでしょう。

コンプレッションウェアのプラセボ効果に関する検討

コンプレッションウェアの各種機能については利用者からの評判も良く、
2つの研究で実証もされています。

ただ、それらも思い込みである可能性も否定できません。
つまり「コンプレッションウェアは良いものだから」
「コンプレッションウェアを着たのだからよく動けるし、疲労も回復しやすいだろう」
という先入観による影響が現われた可能性もゼロではありません。

このような、実際にない効果を思い込みで得ることを「プラセボ(placebo)効果」といいます。

プラセボ効果は新薬開発の場面でよく検証されるのですが、
有効成分を配合した本物の薬と、何も含まない成分を含まない偽の薬を飲ませたとします。
すると、偽の薬を飲んだ人達にも「薬を飲んだから効くはずだ」という思い込みから、
実際に身体に影響が現われてしまうことがあります。

薬以外のものごとに対してもプラセボ効果の有無はよく検討対象になります。
コンプレッションウェアで得られる効果も、
もしかすると「着圧による効果があるはずだ」という思い込みから産まれたものかもしれません。

コンプレッションウェアのプラセボ効果に関する研究を見てみましょう。

研究紹介3:コンプレッションウェアのプラセボ効果について

この実験では、

  • コンプレッションウェアの機能性や効果について詳しく説明してから着用させた人たち
  • とくに説明を受けなかった人たち

の2群に分けて、運動をする→ウェアを着用する→同じ運動をする、
という流れで2回の運動の結果を測定しました。
また筋肉にかかった負荷を計測し、疲労感や着用時の快適性に関するアンケートも行ないました。

その結果、事前にコンプレッションウェアについて説明を受けた人たちと、
説明なしで着用した人たちとの間では運動結果や筋肉の負荷に差は認められませんでした。
説明を受けた人たちのほうが、アンケートのフィット感の項目に高い評価をしている傾向が
やや見受けられた程度だったそうです。

したがって、コンプレッションウェアの効果についてプラセボ効果の影響はない、と言えます。

出典:松本真依、佐々木一茂「運動時におけるコンプレッションウェア着用のプラセボ効果」日本女子大学紀要 家政学部 第63号(2016)

 

コンプレッションウェアの圧が意識を切り替える

コンプレッションウェアは着用すると圧によって身体を軽く締めつけられるような感覚があります。
圧による作用がさまざまな効果につながるのですが、
着用時のこの感触自体を評価する声も少なくありません。

愛用者にとっては「圧がかかる着用感」も魅力

「筋肉がほどよい圧で包まれることで動きやすいと感じる」
「軽い力で動ける感じがする」
「引き締まる感じがして体を動かす仕事に向いている」
「通常のウェアを着ると差を感じてつらい」
といった感想は多くあります。着用による気持ちの変化、とも言えるでしょう。

これらは実験で数値化して比較できる類のものではなく、単なる使用感とも言えますが、
着用者にこのように感じさせることもコンプレッションウェアの魅力的な「効果」であると言えます。

とくに作業現場においては「これから体を動かす場面だ」と意識することは非常に重要です。
作業に臨むという意識が低い状態では、不慮の事故にもつながりかねません。
いつでも万全の動きができる、高いパフォーマンスを発揮できるという意識をもてること、
身体に「スイッチ・オン」の合図を送りやすい状態であることは、
安全に質の高い作業を遂行することに大きく貢献します。

気候や環境に順応する着心地改善機能も大きい

真夏の暑さや多湿による蒸れ、
冬場の寒さや乾燥といった多少なりとも不快な要素は作業者の意識に影響します。
とくに夏の日中の作業での暑さ対策は多くの現場で課題となるものです。

多くのコンプレッションウェアは体温や湿度を調節する機能も付加されています
そのため快適な作業環境づくりにつながることも非常に魅力的です。

コンプレッションウェアは薄い生地が一枚、
ぴったりと肌に密着するため見た目には夏は暑そうに見えるかもしれませんが、
実際は汗をよく吸ってすぐに放湿する機能も手伝って、
汗のベタつきや蒸れた不快感がかなり軽減され、快適な着用感を保ちます。

冬も「体は寒いのに上着の中は汗をかいて蒸れている」ということがありがちですが、
インナーにコンプレッションウェアを着ていると肌が湿る感覚もなく、
防寒着の暖かさを上手に引き出します。

コンプレッションウェアは「着る快適な作業環境」

コンプレッションウェアはアスリート向けのトレーニングウェアとして1980年頃から世に出たものです。
運動機能をサポートして疲労回復にもつながる効果が注目され、
作業着としても浸透しつつあります。

吸汗放湿に優れた生地を採用し、
夏冬それぞれの気候に適した機能を付加することで現場の環境に順応して
快適性を保つ効果も大きなものです。

サポート機能にあふれたコンプレッションウェアが作業現場で必需品となりつつある流れは、
昨今の作業服にさまざまな機能性、高い快適性が求められている昨今の風潮と無関係ではありません。

たとえば、近年急速に普及している空調服は、炎天下での作業で作業者が体調を崩す、
判断力が鈍るといったリスクを大きく低下させ、快適な作業環境を作り上げました。
「着ることで快適に作業できる環境を作り出す」という理念は
コンプレッションウェアに通じるものがあります。

「暑さ、寒さは気合いで乗り切る」といった根性論がプロ意識と考えられる時代は
終わったのかもしれません。
作業現場の不利な状況にも順応し、
高いパフォーマンスを出せる状態に自分自身を置くことが
現代に求められるプロフェッショナルの条件ではないでしょうか。
その際、作業着としてのコンプレッションウェアは大きな一助となるでしょう。

【参考記事】コンプレッションウェア以外の作業着はこちらから!▽