着脱介助・更衣介助は要介護者の身体を清潔に保つために介護シーンで欠かせない業務のひとつです。
着替えの頻度は施設などにより異なりますが、朝・夜のメリハリをつけるために1日2回行っているところも多くあります。
介護度にもよりますが、慣れていないとなかなか上手に着替えさせることができず、そうなると介護をする側にとっても受ける側にとっても負担が大きくなってしまいます。
この記事では着脱しやすい衣服と着脱介助のポイントをまとめていますので、介護の仕事をこれから始める方や自宅での介護を検討している方は参考にしてみてください。
このページの目次
着脱しやすい衣服とは?
前開きの上衣
かぶりものは頭を通さなければいけないので、腕や首などが大きく動いてしまう可能性があり、要介護者の負担が大きくなります。
そのため、一般的には前開きの上衣が推奨されています。
入院用のパジャマが作務衣だったり前開きのものが多いのも、着脱の際に負担がかかるのを軽減できたり介助がしやすいからです。
作務衣だとボタンが不要なので、指先を使う細かい動作が難しい場合でも、要介護者が自分で着替えることを促せるので有効です。
その他にもマジックテープやゴムを使ったものも着脱しやすくなっています。
伸縮性のある素材
伸縮性のある服で肩部分が広めに作られているものや袖口が広いものは、関節を大きく動かさなくても着脱することができます。
逆に身体に対してサイズが小さめの服や伸縮性のないものだと、多少力を入れて着脱しなければいけなくなり、負担のかかる関節の動きをしていただく必要があります。
そうなると着脱に時間がかかる上に身体的な負担が大きくかかるため、お互いにとってメリットがありません。
着替え介助を行う際の注意点
プライバシーの配慮
必ず扉やカーテンは閉めて、肌の露出を最小限にするためにタオルやタオルケットなどを使用し、プライバシーに配慮することが重要です。
着替えを見られたり触れられたりすることに対して恥ずかしいと感じる方もいらっしゃいますので、なるべく同性のスタッフが対応するようにしましょう。
転倒など怪我のリスク
着替えをする際にうまくバランスが取れずふらついてしまったり、転倒する可能性もあります。
怪我のリスクを想定して細心の注意を払うようにしましょう。
もしふらつきがひどい場合は、二人体制での介助をするなど、安全面が考慮された状態で着替え介助を行うことが重要です。
室温
着替えを行う際の室温は23~25℃前後が適温と言われています。
肌が露出することで身体が冷えていくので、必ず室温の確認・調整をしてから着替えに入る必要があります。
また、介助する際に素肌に触れる手が冷たくないように、事前に温めておきましょう。
声かけをする
介助の度合いに限らず、必ず声かけをしながら行うことが重要です。
何も声かけをせずに急に身体を動かしたり補助すると、驚いて転倒したり不安感を与えてしまう可能性があります。
「肘を曲げますね」など、今から何をするのか声かけをしながら進めるようにしましょう。
衣服のシワに気を付ける
特に寝ている時間が多い方にとっては、衣類のシワが褥瘡の原因となります。
褥瘡ができないように定期的に体位変換は行いますが、体重がかかる部分にシワができていないかは必ず確認することが重要です。
全て介助することが必ずしも正解ではない
着替えは全て介助するのではなく、できる限り自身で着替えられるように促すことも必要です。
毎日行うことなので、ADLを衰えさせないためにも、これがとても重要なことになります。
要介護者のペースに合わせてまずは見守り、できること・できないことを見極めた上で、どこまで介助を行うか決めていきましょう。
ですが、一度確認しただけで介助なしで大丈夫と決めつけることはNGです。
体調によって変化するものなので、その日の状態に合わせて介助のレベルを決めるようにしましょう。
着脱しやすい服でお互いの負担を軽減しよう
前開きの服や伸縮性のある服は着脱介助がしやすく、要介護者の負担軽減にも繋がります。
着替え介助では、プライバシーへの配慮や室温・転倒リスクなど注意するポイントを理解した上で行うことが重要です。
また、要介護者だからといって全てを介助することは、本来できることまでも奪ってしまうことに繋がります。
体調を考慮しながら、できる限りご自身で着替えができるように促していきましょう。