ヒーターの力でウェア自体が発熱するヒーターベスト。室内はもちろん寒い屋外での作業まで活躍するアイテムですが、バッテリーを使うことによる安全性が気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事ではヒーターベストの安全性について、実際の事故事例を挙げながら解説します。安全性の高いヒーターベストを選ぶためのポイントや事故を防ぐ使い方もご紹介するので、ヒーターベストの購入に不安を感じている方はぜひこの記事を参考にしてください。
このページの目次
ヒーターベストとは
ベストに付属したヒーターにより、ベスト自体が温まるヒーターベスト。バッテリーを使用するため、電源がとれない場所でも暖かさを保つことができます。
熱を逃さない工夫がされた一般的な防寒着と異なり、ウェアが発熱するため着た瞬間から暖かいのが魅力。長時間じっとしている作業中でも、体をぽかぽかと温めることができます。
ヒーターベストの危険性
メリットの多いヒーターベストですが、正しい使い方をしないとリスクが伴うことがあるのも事実。ここでは、ヒーターベストを使ううえで注意しなければならないポイントを解説します。
バッテリー・ヒーターの発熱
各メーカーが安全性の高い商品を販売していますが、バッテリーが温まりすぎて発火したり、ベストに取り付けられたヒーターが故障して発火する危険性がないとは言い切れません。
また、ベストに内蔵されている電熱線は折り曲げに強くないため、使用しているうちに断線する可能性もあります。事故を防ぐためには、各メーカーが示している使用方法をきちんと守ることが大切です。
低温やけど
熱に長時間あたり続けることで、肌に赤みが出たりヒリヒリしたりする初期症状が起こる低温やけど。その名の通り体温より少し高い程度の低温で発生するため、気づかないうちに重症化するリスクもあります。
ヒーターベストによる事故でもっとも多いとされており、注意が必要です。各商品の説明欄に低温やけどについての注意喚起が記載されていることも多いため、よく確認しておきましょう。
脱水症状
脱水症状とは、体内の水分量が減ることで頭痛やだるさなどの症状を引き起こすもの。脱水症状と言えば夏のイメージが強いかもしれませんが、寒い時期は積極的に水分を摂らなくなることが多いため注意が必要です。
ヒーターベストや部屋の温度が暖かすぎると感じたら要注意。こまめな水分補給を心がけましょう。
ヒーターベストの事故事例
ここからは、実際に起きたヒーターベストの事故をご紹介します。全国の消費生活センター*は、ヒーターベストの異常発熱により発火や低温やけどを負ったなどの相談が2017年4月〜2022年9月末のあいだで228件寄せられたと発表しました。
このような事例があることを念頭に置き、ヒーターベストの使い方や商品選びに注意してください。
バッテリー・ヒーターの発火
2020年には、ヒーターベスト用のバッテリーの発火による火災が発生したことが報告されています。
また、火災には至らなくても、「焦げた臭いがした」「いつもより暖かいと感じたら、生地が燃えて穴が空いていた」といったこともあるようです。
ヒーターベストを着用しているときは、意識的に温度を確認するといいでしょう。
長時間着用による低温やけど
低温やけどは初期症状に気づきにくく、「使用中、気づかないうちに低温やけどをしてしまっていた」という声も目立ちます。
ヒーターが過度に暖かくならないよう、こまめに温度調節をしたり電源を切ったりすることで温度を調整することが重要です。
安全性の高いヒーターベストの選び方
ここまでヒーターベストの危険性に触れてきましたが、安全性の高い商品を選べば過度に心配することはありません。
ここからは、安全性の高いヒーターベストを選ぶためのポイントをご紹介します。
PSEマーク付きなど安全性の高いバッテリーを選ぶ
新しくバッテリーを購入する際は、「PSEマーク」の付いた商品を選びましょう。PSEマークとは、電気製品が安全性を満たしていることを示すマークのこと。
細かく設定された複数の試験を通過した商品にだけ与えられるマークであるため、粗悪品である可能性を限りなくなくすことができるでしょう。
信頼できるメーカーや日本メーカーを選ぶ
安全性の高いヒーターベストを購入するなら、製造場所にも注目しましょう。もっともおすすめしたいのは国産です。しかし、中国製の商品であっても日本のメーカーが取り扱っているものであれば、厳しい検品を経ているため安全性が高いでしょう。
また、日本メーカーの商品の場合、返品や保証などのアフターサービスが充実していることもメリットです。
温度調節機能付きを選ぶ
ヒーターベストには、数段階で温度調節ができるモデルがあります。通常は3段階ほど、高機能モデルだと5段階に調節でき、体感温度に合わせて調節することができますよ。
暖かくなってきたら少し温度を下げるなどと調節することで、バッテリーやヒーターの過度な発熱を防ぐことができるでしょう。
温度制御機能付きを選ぶ
自分でヒーターベストの温度を調節する機能だけでなく、異常な高温を察知すると自動で発熱が停止する温度制御機能も存在します。
また、電源の入れっぱなしを防ぐため、数時間で自動停止するモデルにも注目です。作業に集中しすぎたり、うっかり寝てしまったときに長時間熱にあたることを防いでくれます。
安全性の高いおすすめのヒーターベスト
バートル 3214 [秋冬用]ヒーターベスト サーモクラフト対応[男女兼用]
ヒーターベストの人気メーカーであるバートルの、高機能ヒーターベストです。防水、撥水、防風機能付きで屋外の作業でも活躍するでしょう。生地にはストレッチ素材が使用され、ノンストレスで作業に集中することができます。
ヒーター(サーモクラフト)は取り外し可能なため、肌寒い程度の時期であれば普通のベストとして着用できて一石二鳥なのも魅力です。
なお、ベストのみの販売のため、別途同じメーカーのヒーター(サーモクラフト)とバッテリーの購入が必要です。
ジーベック 167 [秋冬用]ヒーター内蔵ベスト
インナーとして着用するのにぴったりな、ジーベックのスリムなヒーターベストです。背中と腰の2箇所に内蔵されたヒーターと内側のアルミプリントで背中側をしっかりと暖めます。
ヒーターの温度は、弱(40℃)・中(50℃)・強(60℃)の3段階に調節可能。さらに、電源を入れてから2時間で自動的に停止する機能付きで、発火や低温やけどを防ぐ工夫がされています。手洗いで丸洗いも可能なため、清潔に保ちたい方にもおすすめ。ヒーターベストを安心して使用したい方にぴったりのモデルです。
自重堂 FGA20010[秋冬用]FEVER GEAR 電熱インナーベスト[バッテリー/USBケーブル付属][男女兼用]
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お腹と背中に計9箇所のヒーターが付いた、自重堂のヒーターベストです。UネックとVネックで使いまわしができ、営業時にスーツと合わせることもできる優れもの。内側には保温性の高いブラックアルミメッシュ素材を使用し、発生した熱を逃さない工夫がされています。
電源を入れてからたったの15秒で発熱し、すぐに暖かさを感じることができます。ベストとバッテリーとUSBケーブルがセットになっているため、バッテリーの互換性に悩むことなくすぐに使用可能。スターターセットとしてもおすすめのモデルです。
ヒーターベストを安全に使用するためのポイント
それでは、実際にヒーターベストを使う際には何に注意すればよいのでしょうか。ここからは、ヒーターベストを安全に使用するためのポイントをご紹介します。
長時間の使用を避ける
繰り返しになりますが、低温やけどのリスクを減らすために長時間の使用は避けましょう。暖かさからついつい長時間使いたくなってしまいますが、寒くないときはこまめに電源を落とす、使用時間を決めておくなどの自己管理が重要です。
また、長時間電源が入れっぱなしになる可能性のある就寝時には、使用しないようにするのがいいでしょう。
こまめに温度調節をする
寒い場所での作業では、なかなか電源を切ることができないシーンもあるでしょう。そんなときはこまめな温度調節を意識してください。
体が温まってきたら温度を下げるなど、体感温度に合わせて適切に温度調節をすると、低温やけどのリスクを減らすことができます。
暖房器具の近くや布団の中で使用しない
バッテリーやヒーターが異常に発熱することによる発火を防ぐため、暖房器具の近くや布団の中で使用しないようにしましょう。
ベスト単体でも発熱しているうえ、さらにそれを温めるような状況下で使用すると、バッテリーやヒーターが異常な高温になる可能性が高まります。複数の暖房アイテムを併用する際は注意が必要です。
折りたたまずに保管する
ヒーターベストを保管する際に小さく折りたたんでしまうと、ベストに内蔵されている電熱線が断線する可能性があります。
場合によっては電熱線の断線が原因で発火することもあるので、使用時だけでなく保管の方法も頭に入れておきましょう。
バッテリーの互換性に注意する
ヒーターベストを初めて購入する際は、ヒーターベストとバッテリーがセットになった商品や、推奨するバッテリーが示されている商品がおすすめです。
ヒーターベストのバッテリーは、ベストと同じメーカーのものでないと使用できないことがあります。間違ったバッテリーを使用すると、単に作動しないだけでなく、ヒーターベストの故障にも繋がるため注意しましょう。
また、空調服(バッテリーの力でファンを回し風を送る)と同じバッテリーが使い回しできない場合もあります。
バッテリーの互換性については、以下の記事で詳しくまとめているためぜひチェックしてください。
まとめ
寒い日の作業をサポートするヒーターベスト。バッテリーを使用することから安全性に不安を感じる方も多いですが、高品質な商品を選び、使用時間や温度設定に注意することでトラブルのリスクを下げることができます。
ヒーターベストのリスクと正しい使用方法を理解したうえで、一般的な防寒着では得られないぽかぽかと体が温まる感覚をぜひ体感してみてください。