料理人が厨房で被るコック帽は、なぜあの長さなのでしょうか?「料理するときに邪魔なのでは?」と思う長さの帽子もありますよね。

そんな疑問が多いコック帽の長さですが、実はきちんと理由があるんです。コック帽の長さは「高さ」や「山丈」とも表現されますが、この記事では「長さ」で表現していきます。

そもそも「コック帽とは何?」という方は下記リンクをご参照ください。
(参考リンク)コック帽とは|ユニフォーム用語集:意味/解説/効果など

コック帽が長い理由は主に3つ

このコック帽が長い理由は、大きく分けて3つです。以下、一つずつ解説していきます。

料理人の地位の高さを表している

1つ目の理由は、コック帽の長さによってその料理人がどんな立場なのか、地位を表すためです。

一般的にコック帽の長さが長いほど、
料理長などその調理場において責任のある立場であることが多いです。
そのため立場のある人が誰なのか、パッと見て判断することができます。

人が多い調理場において、そこのシェフが誰なのかをコック帽で判断できるのは非常に合理的ですね。
調理場に常にいるわけではない、事務方や、
ホールスタッフなどが調理場の責任者に要件を伝えたい場合などに便利なことが想像できますよね。

シェフとコックのイメージ図

「シェフ」:料理長であり、調理場の総指揮官に当たる人。
「コック」:その調理場のシェフ以外全員を指す言葉

参考元:https://www.sushijob.com/blog/detail.html

衛生上の理由から職場環境を向上させる

2つ目は、コック帽が長いことで衛生的に良い効果があるという理由です。

調理場は火を扱うことが多いので、気温が蒸し暑くなり汗をかきやすくなり、衛生面の問題や痒み、
夏場なら熱中症のリスクも生じます。

長いコック帽であれば、それだけ空間が生まれるため通気性が良くなり、
頭が蒸れにくくなるので快適です。

特に仕込みやランチタイムなどの激しい火力を使うタイミングでは、
エアコンを使用しても室温が40度近くなるなど、高温多湿な環境になります。

逆に火を使わない寿司屋の板前さんは、室温が高温になることはないので帽子が長くありません。
熱効率の良いコンロを使う中華系は、調理場が高温になりやすいため長い帽子が多いです。

コック帽のイメージ図

上記イメージのように、コック帽には熱がこもりにくく、
頭が蒸れないことで汗が流れるのを防いでくれます。

見た目の理由からお客様から信頼される

3つ目はビジュアル的な問題です。コック帽は一般的に料理人のトレードマークとなっています。

例えば、厨房の様子が見えるオープンキッチンのお店で、
コック帽を被っていない人が料理してくれるのと、コック帽を被っている人が料理をしているのとでは、
イメージが違いますよね。

このようにコック帽には「料理のプロ」という印象を見る人に与える役割も担っています。

最近ではホテルのビュッフェでも、
出来たて料理を提供してくれるコックさんが常駐していることがありますが、
やはりコック帽を被った方が提供してくださっていることが多いように思います。

また、厨房で髪の毛落下を防ぐ被り物をしていない人はほとんどいないと思いますが、
もしいたとすると、提供される料理の衛生面に関して不安になりますよね。

基本的な衛生面での機能的な役割はもちろんのこと、
料理を食べに来てくれているお客様にビジュアル面で「安心感」を与えるメリットがあることが
おわかりいただけると思います。

身長が低い料理人が被りたがる?

これはごく一部の話ですが、
コック帽は料理人の背丈を高く見せるために長くしているという意見もあります。

フランス料理の祖と呼ばれる「オーギュスト・エスコフィエ」は、自身の身長が157cmしかないため、
厨房で目立って権威を示すために長いコック帽を被ったといいます。

偉大な料理人であるエスコフィエが長いコック帽を被っていたとなると、
他の料理人も真似して被りたくなったとしても不思議ではありませんよね。

日本でも背の低い料理人が好んで長いコック帽を被るという意見もあり、
見栄や格好を気にした人がコック帽を被るケースもあるようです。

参考元:https://www.g-de-b.com/matome/2016/07/20/post-8993/

コック帽の長さが料理人の地位を表すのは日本独自の文化


コック帽の起源は、フランスの料理人である「マリー=アントワーヌ(アントナン)・カレーム」が
お客さんの山高帽を見て気に入り、その帽子を真似て被ったのが始まりと言われています。

その後フランスに修行に行った日本の料理人が真似をして日本にも広まったのですが、
帽子の長さが地位を表すという部分は日本独自のもの。

コック帽発祥の地であるフランスでは、コック帽の長さはさほど重要ではありません。

帝国ホテルの場合の例

日本を代表する高級ホテルである帝国ホテルでは、
料理人のキャリアや地位でコック帽の長さが明確に決まっています。

具体的には、以下の通りとなっています。

  • 料理人見習い:18cm
  • 7年以上のキャリアを持つ料理人:23cm
  • 料理長またはそれ以上:35cm

http://envoisin.jp/trivia_archive/cat05/p427/より引用

料理人見習いと7年以上のキャリアを持つ料理人は5cmの差ですが、
料理長は12〜17cmと開きが大きくなっています。

この数値から、料理長がどれだけ調理場における存在感が大きいかが分かりますね。

実際はお客さんに見せるため?

ただ実際には「長いコック帽なんて被らない」という意見もあり、お店によって異なるようです。

確かにきちんと髪の毛や汗が落ちないように衛生管理をしている人であれば、
人前に出るとき以外はコック帽を被らなくても良いかもしれません。

参考元:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1489071479?__ysp=44Kz44OD44Kv5bi9IOmVt%2BOBlQ%3D%3D

長さでコック帽を選びたい人におすすめの商品

使いやすい長さのコック帽がいい人はこちら

コック帽の長さは15〜25cmくらいの長さが一般的ですし、被りやすいです。
ビジュアル的にもしっくりくるサイズ感でおすすめです。

こちらは山丈20cmで標準〜やや長いイメージです。

>>15 SUNPEX(サンペックス) コック帽はこちら

とにかく長さ重視の人はこちら

コック帽の長さには幅広い種類がありますが、
長さを求めたいのであれば40cmのコック帽がおすすめです。

40cmと聞くとかなり長いイメージですが、広い厨房であればコックの存在感も際立ちますし、
通気性も向上して蒸れにくくなるなどメリットが満載です。

まとめ

コック帽の長さには意外と重要な意味があることが分かりました。

普段厨房に立つことがない人にとっては驚くような理由が多かったのではないでしょうか。

これからレストランなどで調理場の料理人を見ることがあれば、
それぞれのコック帽の長さに違いがないか見てみると面白いかもしれません。