作業着や制服などのユニフォーム市場は成長しています

たとえばオフィスの制服には「古い慣習」というイメージがあるかもしれませんが、
実際は制服の有用性が再評価され、新たに導入する企業も多くあります。

ただ、ニーズは多様化、複雑化しており、
単に「ユニフォームの需要が高まったから売れて市場が大きくなった」という
シンプルな話ではないようです。

「ユニフォーム市場の動向」を読み取り、考察します。

ユニフォーム市場は5,000億円規模に

「ユニフォーム市場が成長傾向にある」と聞くと納得する方、
意外に感じる方それぞれおられるかもしれません。
ユニフォーム市場のうちいくつかの分野は可能性を広げつつありますが、
そうではなく構造的に苦境を強いられている分野もあります。

矢野経済研究所によるユニフォーム市場の調査をもとに、市場動向を確認してみましょう。

2015年度の国内ユニフォーム市場の調査

矢野経済研究所では2016年4~6月に、国内有力ユニフォームメーカーを対象に調査を行ないました。
※以下、データは矢野研究所 プレスリリース「ユニフォーム市場に関する調査を実施(2016年)」より

ユニフォームの4分野

先に、調査対象であるユニフォーム市場を構成する4つ分野の内訳を確認しましょう。

  • スクールユニフォーム:学校制服
  • ワーキングユニフォーム:食品以外の製造工場、建築業向けユニフォームなど
  • オフィスユニフォーム:事務服
  • サービスユニフォーム:病院、介護施設、清掃業、飲食業、食品工場向けユニフォームなど

ユニフォーム市場総合の動向は?

2015年度には国内ユニフォーム市場規模(メーカー出荷金額ベース)は5,026億円と、
5,000億円市場にまで大きく成長しました。
もともとユニフォーム市場は2011年度以降、じわじわと成長傾向をみせ続けていました。

2015年度ではスクールユニフォーム分野こそマイナス成長となったものの、ワーキングユニフォーム、
オフィスユニフォーム、サービスユニフォームの3分野は長い間、
横ばい傾向であったものがここ数年微増を続けており、
当年度でも市場全体をプラス成長へと牽引しました。

ユニフォーム市場の分野ごとの動向

ユニフォーム4分野は、それぞれ市場においてどれだけのシェアを占めているのでしょうか。
ワーキングユニフォーム:52.3%
スクールユニフォーム:21.9%
サービスユニフォーム:16.8%
オフィスユニフォーム:9.0%

実に半分をワーキングユニフォームが占めており、オフィスユニフォームが最もニッチな分野です。
市場構成比を円グラフでも確認しましょう。
ユニフォーム市場の構成比グラフユニフォーム市場は例年このような構成比を示していますが、
スクールユニフォームはこの先も減衰傾向を抜け出しにくいため、
将来的にはサービスユニフォームが市場を支える二本目の柱となる日が訪れるかもしれません。

続いて、それぞれの分野ごとに傾向を確認しましょう。

ワーキングユニフォームの動向

もともと個人ユーザーの購入に支えられている面が大きい分野です。

直近では2020年東京五輪に向けた建築需要の増加があり、
作業系業務就労者の人口や活躍の場が増えることはプラス要素として期待できます
また女性が作業系現場へと進出しつつある傾向からも、女性用商品の需要増が見込めます。

今、そしてこれから求められるワーキングユニフォーム像

もともとワーキングユニフォーム(作業服、作業着)には機能性と耐久性が強く求められてきました。

最近ではカジュアルテイストを取り入れ、
普段着としても着こなせるようなファッション性の高い商品の人気が高まっていた分野です。

さらなる快適性を支える繊維の進化

見た目の良さが充実してきたためか、着心地を重視したワーキングユニフォームの開発が増えています

作業服に求められる着心地とは一般衣料品のそれとは少し異なり
「体を動かしても、極端な環境下でも影響を抑えられる」という快適性の高さが重視されます。
吸湿速乾、防寒、高い通気性、接触涼感などを実現する繊維が
ワーキングユニフォームを進化させる要素として期待されています。

もちろん、既存の作業服に取り入れられていた動きやすいストレッチ機能や
ヘビーユースに応えうる耐久性も欠かせません。



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バートルの制電ストレッチツイルジャケットは秋冬の使用を主としたジャケット。
ストレッチ生地を採用し、カッティングやタックの工夫で動きやすさを確保し、
秋冬の現場で起こりがちな静電気を抑える制電素材を使用、
また形状安定でシワになりにくいなど扱いやすさにも配慮したアイテム。

おしゃれ追求だけではないカラーバリエーションの充実

もうひとつ、昨今のワーキングユニフォームで顕著なのは多色展開、
とくに目立ちやすい色をラインアップに取り入れる動きです。
汚れがついても目立ちにくいことから、
黒やグレー、茶色といった色が需要も供給も高かったワーキングユニフォームですが、
昨今は赤や青、それもベーシックなネイビー(紺色)と比べて鮮やかな青が取り入れられています。



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カラーバリエーションのひとつにロイヤルブルーがあり、レッドとともに目を引く。

こうしたカラーの積極的採用には視認性を上げる目的があります。
黒やグレーといった色は視認性が低く、冬の屋外の作業現場では夕方以降には他の作業者や
作業重機オペレーターから見えにくいため、現場の安全性を下げる原因になっています。

視認性の高いカラーを取り入れることは、作業服の課題のひとつである安全性の確保につながる要素です。
従来の人気カラーである暗い色調のものと逆転することはないでしょうが、
カラフルなワーキングユニフォームを着用した現場作業者を多く目にする日が来るのは
そう遠くないでしょう。

ワーキングユニフォーム市場の動向を読み解く記事はこちら

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スクールユニフォームの動向

メーカーはスクールユニフォームの需要拡大につながるよう有名デザイナーの起用などの話題作り、
イメージアップ策に力を注いでいます。

ただ、肝心のユニフォームを着る生徒の人数が減少傾向にあり、どうしても売れる絶対数が下がります。

サービスユニフォームの動向

サービスユニフォームは、
メディカルユニフォームの需要が増えていることもあって堅実に成長しています。
特筆すべきは、メディカルユニフォームの中でも際立った成長を見せている
介護施設向けのユニフォームの好調ぶりです。

スクールユニフォームが少子高齢化の「少子」の影響で苦戦を強いられているのと対照的に、
高齢化社会による需要増で介護市場は拡大しています。
介護スタッフのユニフォーム、また介護施設利用者の室内着などの需要もこれに伴い大きく増えています。
これまで未参入だったメーカーも介護ユニフォームの展開に本腰を入れ始めており、
市場競争の激化も含めて今後も成長が続くことでしょう。

介護以外の分野では、2020年の東京五輪開催を視野に、
外国人客にも利用されるサービス業(宿泊や飲食)で
イメージアップのためのユニフォームの新規導入、刷新需要が高まっています

今、そしてこれから求められるサービスユニフォーム像

市場を活性化している介護ユニフォームには、どのような機能が求められているのでしょうか。

介護の業務は様々で、現場から求められる要素も実に多岐にわたります。

  • 主に内勤だが多少の外出を伴うことも
  • 利用者やその家族と接するため外見の清潔さも必要
  • 体を動かし続け、重いものを持ち上げる場面も。水仕事もある
  • 通年着られて、毎日の洗濯でも劣化しにくい生地
  • スタッフは男性も女性もいる

ざっと見ただけでもこれだけのニーズがあります。
他のサービスユニフォーム利用業務と比べても、かなり「肉体労働」の要素が大きい業種でもあります。

このような現場に適したユニフォームとなるために、着心地の良さ、
ストレッチやデザイン面の工夫による動きやすさ、吸汗・速乾などの快適性、
ユニセックスなデザイン・サイズ構成、普段着に近いデザイン…などなど、
多くのメリットを兼ね備えたアイテムが増えています。


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オフィスユニフォームの動向

事務服などオフィスでの制服需要は急速に需要が減り、
長年低いシェアで横ばいを続けていた分野なのですが、
近年は顧客対応において重要な役割を占めるとして、
おもてなしの意味を込めて再度ユニフォームを採用するユーザー企業が増えています。

顧客対応という需要の性質上、かつてより高いデザイン性が求められているのが昨今の顕著な流れです。

今、そしてこれから求められるオフィスユニフォーム像

女性社員の事務服を廃止していた企業でも、一部の部署や役職に来客へのイメージアップを狙った
オフィスユニフォームの再導入といった動きが見られます。
かつての事務服には概してコストパフォーマンスの高さ(率直に言えば低コストであること)が重視され、
需要が高まるほどにその傾向も次第に強まっていました。

現在のオフィスユニフォームはブランドイメージの統一と向上という役割を担うことから、
かなり高いデザイン性、それも洗練された上品な印象が求められています
そうした中に、仕事用の制服であることから機能性も兼備したいという要望があります。

ただ、かつて事務服には着用する女性社員から「本当はおしゃれを楽しみたい」
「個性を演出できる部分もほしい」といった不満の声が上がりがちだったため、
おもてなし要素を意識したデザイン性の高いオフィスユニフォームは採用する企業側だけでなく、
着用するスタッフの意向にも沿った仕上がりです。



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また、上下のパターンを選べる、ベストやジャケットのみを制服として胸元・襟元のコーディネイトや
スカーフ等の小物使いに自由度をもたせるといった工夫により、
自分らしい着こなしを楽しみたいという需要にも応えています。



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ユニフォーム市場はメーカー・製品の真価を問う時代

「ユニフォームは導入するのが当たり前」という時代はずいぶん前に終わり、
次いで訪れた長い「ユニフォーム離れ」の時期を経て、再びユニフォーム市場は成長し続けています。
ただ、こうした変遷を経た現在求められているユニフォームは、
各ユニフォーム分野がそれぞれ本当に必要としている、価値ある製品のみです。

かつてはユニフォームの採用企業もコストばかりを重視していたものの、
現在ユニフォームは「使うのが通例だから」「同業他社も採用しているから」と
風潮に従って採用するものではなく、
「ユニフォームを導入することで得られる価値を得たい」と真剣に検討する時代です。

ユニフォームを採用するなら機能やデザインなど、
その分野ごとに求められる要素とその価値を追求する姿勢が必要となるでしょう。